V60 TwinEngine とボルボのエコカー戦略

ボルボの次世代エコロジーカーは、プラグインハイブリッドです。もちろんその先には電気自動車が待っているのですが、水素エネルギーなどではなく、電気を充電して走る電気自動車が最終目的地です。

エコロジーカーの開発は早く、すでに数々のモデルで商品化を果たしています。しかし高価なことがネックでした。

ところが2020年モデルのV60には、手に届きやすいMomentumグレードのプラグインハイブリッドを用意。最安価格を一気に100万円落としてきました。

今後のボルボでキーポイントになりそうなこのモデル、機能を深掘りするとともに、次の展開を予想してみましょう。

ボルボV60 TwinEngineの機能を紹介

V60のエンジンスタートボタン
今までとは違う操作も必要になる最新自動車達

今回ご紹介する内容は、すべて取り扱い説明書からの引用です。この取り扱い説明書、丁寧に日本語に翻訳されているのですが、日本に導入されていないモデルのことまで書いてあります。

プラグインハイブリッドの機能は共通だとは思いますが、存在しない機能な場合があることはご了承ください。

最大87ps 240Nmを発揮

前輪は34kW/160Nmの、後輪は65kW/240Nmのモーターをつけ、車のセンターへ配置したバッテリーに蓄えられている電力を使って駆動します。

エンジンとの合計出力である「システム出力」では、モーターの出力は240Nm。モーターだけでも2.4リッターエンジン並みのトルクです。エンジンを使わずにモーターだけで走行する「pureモード」での最高速度は125km/hですから、相当力強いことは確かです。

ちなみに、出力特性曲線はありません。モーターは電気をかけた時から最大トルクを発揮しますから、出力特性の概念がないんですね。(実際にはあるそうですが、制御で打ち消しているのかもです。)

モーターというのは、言わば電力を回転運動へ変える装置。エネルギーを相応の力に変換するので、出力特性の概念がなく低回転から最大トルクを発揮するのは、当然といえば当然です。

ちなみにバッテリーはリチウムイオンバッテリーで、11.6kWhの電力を蓄えることができます。外部からの充電の他、エンジンを使用した充電や、回生ブレーキでの充電も可能です。

寒いところは苦手

雪道のイメージ

気温が -10℃〜40℃でなければ、ハイブリッドシステムは動作しないそうです。

あまりにも寒い時、または暑い時は、バッテリーのパフォーマンスが著しく下がると言います。20℃くらいが一番効率が良いとのこと。

外気温 エアコンオフ エアコンオン
30℃ 95% 80%
20℃ 100% 90%
10℃ 90% 80%
0℃ 80% 60%
-10℃ 70% 40%

ちなみに、なぜここにエアコンの表記があるかと言えば、ハイブリッドバッテリーはエアコンの電力も供給しているからです。

エアコンも電力を使うのですね。概ね10%〜30%はエアコンに使ってしまうようですよ。

独特の楽しさを堪能できる機能の数々

プラグインハイブリッドを楽しく快適に使う為に、VOLVO TwinEngineには様々な機能が搭載されています。

例えば、「HOLD機能」。今残っているバッテリー内の電気を極力使わないように制御するモードです。

それに「Charge機能」。エンジンを使ってハイブリッドバッテリーへ電力を充電します。ボルボとしては「Charge機能」はあまり使って欲しくないらしいような表記があります。二酸化炭素を発生させてしまうからです。

Pureモードの時に歩行者が車に気づけるように、サウンドを鳴らすエクステリアエンジンノイズなんていう機能もあります。痒いところまで手を届かせている、きめの細かいハイブリッドシステムですね。

シンプルだが合理的なプラグインハイブリッド

バッテリーは車両の中央に配置

ボルボのプラグインハイブリッドは、なかなかわかりやすいシンプルな構成です。

トヨタのハイブリッド車のような遊星ギアを使うようなものではなく、動力は前輪が主に内燃機関、後輪はモーターのみとしています。もちろん、トヨタのような高機能ハイブリッドに追いつくのは至難の業ですから、出来ることから積極的に取り組んだ結果、このレイアウトができたのでしょう。

ちなみに、シンプルだから低機能、という事を言っているわけではありません。

確かにトヨタのハイブリッドシステムは良く出来ていて、エンジンの微かな余裕もバッテリーへの充電に回します。全てのエネルギーを一旦遊星ギアに集めて、効率よく分配しています。

ボルボはそこまでの追求はしていない事でしょう。日本のように低速走行、ストップアンドゴーが多いわけではありませんから、ある程度はドライバビリティに力をいれる必要も出てきます。

本当に市街地を想定し尽くした結果のホールド機能

むしろ、このような市街地走行はピュアモードで電気自動車にしてしまおう。長距離はエンジンを使って、街中は電気。お互いの良いところだけを使おう、と考えているのだと思います。

それを感じるのが、Hold機能。いま充電されているバッテリーの残りの電力を保持するモードです。

50パーセント電力が残っている状態からホールド機能をオンにすると、バッテリー走行を抑え、50パーセントをキープする走りに変わります。つまりエンジンで走るんです。

高速道路を長距離走ってきて、これから市街地という場面。ホールド機能で蓄えておいた電力を使って、電気自動車走行で環境に配慮した走りができるわけです。よく考えていますね。

少ないプラットフォームだからこそできた

また、あまり複雑にしない事で、多くのモデルへ搭載できます。SPAプラットフォーム専用で、たった1つのエンジンしか持たないボルボとしては、この方式はベストでしょう。

ちなみに、CMAプラットフォームのXC40のプラグインハイブリッドは、エンジンと電気で前輪を作動させる方式で開発中、とのことです。プラグインハイブリッドにかなり力を注いでいますね。

考えてみれば、エンジンを取り去って空いたスペースにバッテリーを搭載すれば、FR電気自動車ボルボの出来上がり。いきなり高級FRカーになってしまう!強引ですかね(^-^)

トヨタプリウスのように、いつまでもエンジンが唸り声を上げているハイブリッド車では、ストレスが溜まってしまいます。そのあたりを考えれば、大きなバッテリーに充電し静かに走れるプラグインハイブリッド車は、ボルボに似合ったシステムだと言えますね!

環境エンジン次の一手

電動化ロードマップ
出典:Volvo Car Group Global Media Newsroom

ボルボの電動化の開発は、1970年代から始まりました。1970年代といえばオイルショックです。

現代でもエネルギー航路の治安問題など、石油の話題は尽きないわけですが、オイルショックでは国民が石油製品を買い漁る事態にまでなりました。(どの程度の騒ぎだったのかは、経験無いのでわかりませんが。。。)

2019年現在、話題は次世代エネルギー。水素自動車、燃料電池車は軌道にのるのか。中国が本腰をあげて電気自動車開発に努める中、結果的に吉利汽車傘下になったボルボは先見の目で電気自動車の開発をスタートさせていたわけです。

その結果、欧州自動車メーカーに負けない速さでプラグインハイブリッド車を市場に投入することができました。吉利汽車も電気自動車の基礎研究をしていないボルボには、資金提供をしなかった可能性もありますよね。

自動車大国日本では、プラグインハイブリッドといえばトヨタプリウスと三菱アウトランダーくらい。日産だけは特別で電気自動車量産化の領域にまで達していますが、プラグインハイブリッド車はエンジンと電気自動車の両面を持ち合わせており、ボルボは電気自動車しかないメーカーよりも沢山の技術が集結していると言っていいでしょう。

しかし、その分高価にもなります。バッテリーの性能向上と価格の下落が起きれば、実はすぐにでも廃れる可能性の高いプラグインハイブリッド。ボルボはなぜ、ここに攻め入れたのでしょう?

自社の技術開発

電気自動車に比べて明らかに部品点数の多いプラグインハイブリッド。このメリットは、パワーソースを2つ持つことによる動力の冗長化ができるということ。

ピュアな電気自動車を作るとしても、バッテリーの価格は簡単には下がらない。テスト車両を社内で数年テストするのに比べれば、エンジンと抱き合わせて世界の人々に乗っていただいた方がいい。商売にもなり、技術的ステータスにもなります。

そして開発したてのハイブリッドシステムなら何が起こるかわからないわけです。とりあえず、何かあったらガソリンで走ってくださいと言いやすいのがプラグインハイブリッドだった、と考えることもできます。

北欧の厳しい環境においては、信頼性の高い内燃機関が搭載されているのも魅力的です。

サプライヤーとの関係

1970年代は、自動車の車両開発は自動車メーカーの役割でした。近年はサプライヤー(部品メーカー)が力をつけ、購入したデバイスを取り付けるだけで機能アップが果たせるようになりました。

力をつけたサプライヤーと共同開発すれば、開発費は比較的安価に済むようになります。ボルボはボルグワーナー社と組み、XC90のプラグインハイブリッドを完成させました。量産高価はあまり期待せずに、高機能自動車として販売することができるプラグインハイブリッドは、小規模自動車メーカーには良い選択です。

あのトヨタのハイブリッドと同等か、別方向で最良のシステムが入っているのですから、印象もぐっと良くなります。

自動車メーカーには先進的な印象が、サプライヤーには技術的前進と実績が得られる。ブランド価値があがります。たとえ売れなくてもWIN-WINには変わりありません。

車両価格を上げられる

XC90
出典:Volvo car japan

自動車会社は企業ですから、当然売上という実績が必要です。高額車として販売できれば売上高は上がります。株主へも良いアピールになるでしょう。

しかしそれよりも大事かなと思うのが、自社ラインナップの価格のつり上げができることです。ライバル車が少ない状況においては、高めの価格を付けられることにはメリットがあります。自社のフラッグシップとして価格をつり上げておくことができるからです。

そのメリットは?次世代のハイテクカー「電気自動車」の価格を上げられることだと読みます。電気自動車はプラグインハイブリッドに比べれば、部品点数が少なく安価になる見通しです。それでもイメージ的にはガソリンエンジンの車よりは高価にしておきたい。そうであれば、ガソリンとプラグインハイブリッドとの間くらいで値付けしたいわけです。

プラグインハイブリッドカーで技術力を誇示し、電気自動車の価格を上げる。プラグインハイブリッドカーが作れなかったメーカーは、技術アピールができないので安価な電気自動車での勝負になる。顧客はメーカーの信頼性にお金を支払ってくれるので、高額な車を購入する層もいます。ボルボのターゲットは、そのような裕福層であると言えますね。

自動車メーカー内で優位に立った

プラグインハイブリッドの成功は、ボルボというブランド価値があがりました。(なんだか、木村社長の受け売りみたいで嫌ですが^^;)

つまり、次のプラグインハイブリッドカーの販売でも優位に立てると言えます。バッテリー性能があがれば、電気自動車の性能があがるのと同時にプラグインハイブリッドカーの性能もあがります。

航続距離400kmの電気自動車が開発できれば、航続距離800kmのプラグインハイブリッドカーが誕生します。とくに寒冷地に住む人々にとって、プラグインハイブリッドカーは素晴らしいクルマになるに違いありません。

今はまだポールスターブランドでの電気自動車販売ですが、価格がこなれてきた時、マイルドハイブリッドガソリン車〜電気自動車〜プラグインハイブリッド車という三段階の「パワーソースラインナップ」を手に入れたボルボは、安全性能と高いデザインを加え、独自の地位を築くことができるのです。

ともあれ安くなってきたプラグインハイブリッドを楽しもう

V60ヘッドライト

電気自動車へと続く道のりの中、私たちが今選べるボルボのラインナップは、ガソリン〜マイルドハイブリッド〜プラグインハイブリッドという三段階。(マイルドハイブリッドは日本未導入)

電気自動車化への資金援助・・・というわけではありませんが、燃料費では元がとれない価格差も高い性能であれば満足できます。

ボルボV60 TwinEngine Momentumは、659万円というプライス。減税+補助金は合計40万円。(自動車取得税の免税と、補助金20万円)

あれ?V90よりも安い値付けです(^ ^)豪華さをとるか、最新テクノロジーを取るか、とても悩ましいですね〜

V90にはディーゼルもありますからね!でもインテリジェントボルボも捨てがたい!

とうとう手が届きそうなボルボプラグインハイブリッド。ハイテクボルボを楽しんでみませんか?

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