ボルボとアイシンAW ギアトロニックは逸品トランスミッションだ

1,000rpmからのロックアップ機構によるダイレクト感が魅力のオートマチックトランスミッションを紹介します。

※この記事は、2018年7月31投稿の記事「ボルボのギアトロニックはMTやDCTのようだ」の再編集版です。座談会を含めて大幅に情報を増やしましたので、再度お楽しみください。

自動車業界は、なにも自動車メーカーだけでクルマを作るわけではありません。

クルマの設計は当然しますが(設計まで任せる場合もあるが)サプライヤーといわれる部品メーカーがあり、ライバル達としのぎを削っています。

うちのブレーキは世界一だよ!とか、

排ガス浄化なら任せておいて!とか、

実際に言っているかはわかりませんが、メーカーに売り込むことはあるわけです。

今回はそのサプライヤーの中より、トランスミッションというクルマの心臓部、いや動脈?つまり、ものすごく重要な部品を作る会社と、その製品の特集です。

アイシン・エイ・ダブリュ(アイシンAW)とは

出典:アイシン・エイ・ダブリュ https://www.aisin-aw.co.jp

その会社とは、アイシン・エイ・ダブリュ(アイシンAW)。トヨタ系のサプライヤーで、最新のトランスミッションはレクサスなどに積まれたりします。

トヨタのハイブリッドシステムも手がけていて、実はものすごい会社です。

ボルボでは6AT、8ATどちらもアイシン・エイ・ダブリュ(アイシンAW)製トランスミッションで、そのダイレクト感溢れる乗り味は乗る人乗る人を虜にしています。

約1,000回転から実現可能な直結制御はもちろん業界トップクラス。燃費だけでいえば、マニュアルトランスミッションは不要だよねって言わせる実力。ボルボもよくぞ日本のメーカーであるアイシンを選んでくれたねと感謝しか生まれません。

2018年現在、トランスミッション販売台数は世界一。最近では、FR用10速オートマチックトランスミッションや、AWF8G45という新世代のFF用8速オートマッチックトランスミッションを開発しています。

さすが世界のトヨタグループ。トヨタ車の高性能トランスミッションはアイシンAWのものと考えて良いでしょう。

では、ボルボに搭載されるトランスミッションを2種類紹介しましょう。

TG-81SC(AWF8F45)トランスミッション

出典:アイシン・エイ・ダブリュ https://www.aisin-aw.co.jp

8速オートマチックトランスミッション。1,000rpmからの直結制御を実現するのがこれです。

アイシン・エイ・ダブリュ(アイシンAW)の開発した世界初のFWD用8速ATであり、今までの6速オートマチックトランスミッションと同じスペースに収まるように設計されています。

最初に搭載したのは、レクサスRX350。その後はBMW X1シリーズと、重量級にも載せることができ、そもそもmade in japanです。様々な高級車への搭載実績を見ても、故障の心配をあまりしなくて良い部品ですね。

そしてトルクを480Nmまでカバー。ポールスターパフォーマンスパッケージを付けてもまったく問題ありません。

ボルボのセッティングのうまさもありますが、マニュアルトランスミッションのようにシフトチェンジと半クラ感を音と体感で味合わせてくれる、面白い演出も魅力的です。

1速 2速 3速 4速 5速 6速 7速 8速 後退
5.250 3.029 1.950 1.457 1.221 1.000 0.809 0.673 4.015

このギア比はV40 D4からXC90まで一緒です。

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TF-71SC(AWF6F25)トランスミッション

出典:アイシン・エイ・ダブリュ https://www.aisin-aw.co.jp

6速オートマチックトランスミッションで、いまやV40のT3以下にしか搭載されていませんが、昔は主力級でした。

トルクの許容量は250Nm。ちなみにV70のモデル末期の6速オートマチックトランスミッションがこれと聞けば、結構レベルの高いモノと捉えていただけるでしょう。

スポーティ感を諦めさえすれば、なめらかにつながり変速も少ないこのトランスミッションはナイスチョイスかもしれません。

1速 2速 3速 4速 5速 6速 7速 9速 後退
4.044 2.371 1.556 1.159 0.852 0.672 3.193

搭載モデルはV40 T2 / T3 と、S60 T3(MY2018)のみ。

FF高級車用に開発されたAT

トルクが480Nmまで許容するミッションですので、ボルボではディーゼルモデルや高出力ガソリン車に搭載されています。

何度も言いますが、わずか1,000rpmからロックアップ機構が動作します。マニュアル車が半クラッチにするのに「ふかす」エンジンの回転数が1000rpm前後ですから、これはたしかにマニュアル車のように感じるわけです(≧∀≦)

常用回転数での直結感は素晴らしく、エンジン音とトルクや速度がしっかりと比例します。

ギアチェンジも迅速に行うのですが、エンジンの回転数が制御されて上のシフトにスムーズにつながる感覚はクセになります!まるでDCTのようです!

ちなみに、この2つのトランスミッションに、全車共通のエンジンの組み合わせ。ですが、味付けやセッティングは、車により少々違うようです。

それが分かるのが、XC40、V60、XC60の3車種の乗り比べ。違いはシフトチェンジのタイミング。

XC40はR-Designでしたが、クイックリーなシフトチェンジで軽快さをアピール。

V60はInscription。こちらはスムーズなシフトチェンジでシフトショックを感じさせません。

そしてXC60。最低でも1,830kgというボディの大きさをカバーして燃費を底上げ。低い回転数から直結制御を巧みに操り、ガソリンでも燃費12.6km/Lを達成。

それぞれ「高級車」という1つのジャンルですが、各クルマのキャラクターに何が必要なのか。しっかり考えて作られていることがよくわかります!

豆知識 意外な会社との関係性

出典:https://www.volvocars.com/

ところで、ボルボのラインナップは「FF」と「AWD」です。AWDは「デフ」や「トランスファー」と言われる中継器がつき、トランスミッションとも密接に関わってきます。

ボルボのAWDシステムは、どこのサプライヤーのものか、ご存知ですか?

答えは「ボルグワーナー※」社。ハルデックス・トラクションを吸収した同社は、実はアイシン・エイ・ダブリュ(アイシンAW)の初期出資会社です。(1987年に解消)

ボルグワーナーはAWDカップリングやT8 TwinEngineのAWDシステムの開発協力会社。アイシンAWにはトランスミッションの技術を提供していました。

ちなみにアイシンAWは、1975年にはボルボにオートマチックトランスミッションの供給を開始しています。つまり、ボルグワーナーともアイシンAWとも、すでに50年以上の繋がりがあるというワケです。

豆知識でしょ?

※アイシンAWでは、ボーグワーナーと明記されています。

まとめ

ボルボの最量販モデルはT5エンジン。350Nmを引き出す、スポーツもこなせるエンジンです。

そのトルクを受け止める8速トランスミッションは、最大トルク480Nmを受け止める。PolaStarの伸びしろも含めて、まだまだ余裕はあります。

北欧の過酷な環境に負けない為の、余裕のある部品チョイスには好感を持てます。

それにしても、資本は中国、エンジンは一部日本製のスパークプラグ、トランスミッションは日本製、オーディオは韓国製(米国製なのですが、Harmanはサムスン電子の子会社)なので、アジアの車と言っても過言は無いかもしれません。

しかし、ヨーロピアンなデザインとうまくチューニングされた足回りは、さすがは欧州車(北欧ですが)と言えますね。

この味付け、融合をプロデュースするボルボの力。今後の新車が楽しみです。

座談会で最高のボルボの選び方を考えよう

クルマ選びの最終段階に行き詰まったら、aboutVOLVOを読んで研究しましょう。

車選びはとても楽しく、とても疲れます。しかし高価な買い物ですから、失敗したくありません。是非出来る限り、何度も試乗して、あなたに一番合っているボルボ車を見つけてください。

さて、今回も座談会方式で楽しいボルボ談議をお伝えしちゃいます。

登場人物は3名、20歳大学生のマコさん、30歳技術系会社員のエイジさん、40歳で自動車に浅く通じているシンゴさんです。

アイシンAWのATあれこれ

レガシィのセレクターレバー

マコ「さて、今回はギアボックス、オートマチックトランスミッション(以降、AT)の話です。」

シンゴ「アイシン・エイ・ダブリュ(以降、アイシンAW)の6AT、8ATを使うボルボ。記事の中にあるとおり、1975年からATの供給を受けているんだね。」

エイジ「アイシンAWの沿革に記載がありますから。この「AW」というのも、「アイシン」と「ボルグ”ワーナー”」から来ているそうですから。」

マコ「資本関係を解消しているのにAWとつけているのは、なぜなのでしょう?」

シンゴ「建物をね、AWの形にしちゃったからみたいだよ(笑)」

マコ「ええ!?」

シンゴ「まあ他にも、世界的に名前が定着している、という理由もあるらしいけどね。」

エイジ「そもそも、ボルグワーナー社と組んだわけは、技術供与もそうですけど、ATの特許を持っていたことも大きいと聞きます。調べると、ボルグワーナー社がATを販売したのが1950年。トヨタがはじめてAT搭載車を販売したのが1959年。それでも米国の特許を持っている会社から購入したり、合弁会社をつくるしか方法はなかったそうです。」

シンゴ「その合弁会社が、アイシンAWということになるんだね。これが1969年に設立。余談だけど、当時対抗馬だった日産もフォードと組んで、今のジャトコを設立している。」

マコ「ATで生まれた会社が、大手サプライヤーになっているんですね。アメリカから技術を買い、スウェーデンに売る・・・と。せっかくなのでもう少し、アイシンAWの話をしましょうか。」

シンゴ「いつもボルボ、ボルボだしね(笑)」

エイジ「いいえ、ボルボブログですから当然ですよ(笑)」

マコ「1977年には、世界初のオーバードライブつき4速ATを発売しています。オーバードライブってなんですか?

シンゴ「ああ、マコさん知らないんだ。オーバードライブというのは、シフトノブの横についているボタンの事で、スイッチを押すとシフトを4速から3速に下げる機構のことだよ。」

マコ「4速から3速って、段数少ないですね(笑)」

シンゴ「つい最近まではATなんて4速だったんだよ(笑)レクサスだって4ATだったんだから!」

エイジ「というか、オーバードライブ付きのクルマはまだまだありますよ。ただ、ATでは無くなってきています。ゲート式シフトレバーがついて、ギアを選ぶことができるようになりましたから。」

シンゴ「いやいや、マコさんボルボばかり見ているから、4ATを知らないなんて言うんでしょ(笑)」

マコ「最初に見たボルボは5ATでしたからね(汗)」

ボルボ売却の遠因はATにもあるか?

再スタートシンゴ「ところで、ボルボが最初に搭載したATは、いったいどれくらい前なのだろう?」

エイジ「確実な文献は見当たらないのですが・・・VOLVO 120アマゾンが、1963年にオプションで3ATを搭載できたようです。ボルグワーナー製のものですね。」

マコ「あ!」

エイジ「はい?」

マコ「いま思いついたんですけど!」

シンゴ「んん?どうしたの?」

マコ「ボルボってボルグワーナー社とかアイシンAW社とか、繋がりが深い、というか長いじゃないですか。もしかしたら、グローバル化の波に負けてPAGとかになっちゃったのって、そこが原因じゃないですかね?」

エイジ「ぎょ。いきなりどうして、そんな事を?」

マコ「ですから、1社ここって決めたら、メーカーを変えなくなっちゃうんですよ。ボルボがジャトコと組んだ話って聞かないですよね。」

シンゴ「トヨタがジャトコと組んだっていう話も聞かないよ?」

マコ「トヨタはアイシンの親会社だから当然です。でも、スズキもマツダもスバルも、アイシンからもジャトコからもトランスミッションを購入しているんですよ。それがCVTの場合もあるし、ATの場合もあります。」

シンゴ「取引先が1社だと、ボリューム値引きが効かないって言いたいわけだね。」

マコ「そうですそうです!」

シンゴ「一理あると思うね。でもボルボって本当に小さい会社でさ、例えばマツダは日本では小さい会社の印象をうけるけれど、150万台以上世界で売れている。三菱だって140万台。でもボルボって、まだ60万台なんだよね。」

エイジ「小さなメーカーが生き残りを賭けて戦うなら、1社を味方につけておいた方がいいかもしれませんね。わかりやすい例が、AWDやTwinEngineの共同開発。ボルグワーナーの技術無くして、ボルボのプラグインハイブリッドは生まれなかった。イコール、先のないメーカーに成り下がっていた可能性だってありますよね。」

マコ「そうですかぁ、うまくは行かないですね・・・」

エイジ「高コスト体質なのは確かでしょうけどね。その分、お客様が満足するような製品を作れば良いと、考えているんじゃないですか?」

マコ「そうですね!納得しました!」

シンゴ「切り替え早いや(笑)」

XC60との相性が悪い?

エイジ「ところで、先日XC60に試乗してきたんです。」

シンゴ「どうだった?」

エイジ「室内は広く、リッチな内装と相まって最高のクルマでした!と言いたいのですが・・・実はエンジンやトランスミッションがどうも気になりまして。」

マコ「整備が悪かったのですかね?」

エイジ「わからないんだけど、積極的に低い回転数からロックアップするからなのか、シフトチェンジでのショックを感じたんですよ。」

マコ「ええ、600万円はする高級車じゃないですか。」

エイジ「そうなんですよ。XC60 T5 AWD Inscriptionですよ?贅沢の極みを味わいたかったのに、興ざめなんです。」

シンゴ「何故だろう?T5なら350Nmだから余裕はある。もしかすると、ボディが重すぎた、なんてことないかな?」

エイジ「考えられなくはないんですよね。AWDとの組み合わせもあって、おいしい調整ができていないのかもしれないなと。」

マコ「でも、その試乗車だけの影響かもしれませんよね?」

エイジ「はい。ただ、もしXC60を購入されようという方が今、ここを読んでいるのでしたら、できればXC60を2台は試乗してみてください。たぶんですが、XC60 T5とXC60 D4の両方がディーラーに置いてあると思います。」

シンゴ「ちょうどトランスミッションの話だったから、話ができてよかったね。」

エイジ「ボルボをお勧めするブログですから、感じた事は良いことも悪いことも、しっかりと伝えたいんですよね。もちろん、1台目で乗り心地に?がついたら、もう1台乗って納得してほしい。ボルボはきっと、皆さんの想像を超える良いクルマです。」

マコ「真面目ですね!」

シンゴ「かっこつけたんだから、茶々入れない(笑)」

マコ「すいません(笑)では、今回はここまでです!お読みいただき、ありがとうございました!」

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