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ポールスター2になった40.2コンセプト なぜV40後継車にならなかった?

シリーズ記事「ボルボの戦略を紐解く 」の第一弾です。このシリーズは毎日つづく連載企画ではありません。

ボルボはいま、会社の命運をかけた戦いの待った最中だ。小さな生産規模にもかかわらず立ち上げた、ポールスター。EVなどの先行開発車を主に研究開発、生産する部門だが、同時に失敗を成功に変えるための特務機関のようにも見える。

失敗。それが何かと言うと、ポールスター2。もともと40.2と言われていたセダンだ。

この車、見れば見るほど、もともとは40シリーズの後継車だったように見える。今回は完全にaboutVOLVOの勝手な解釈だが、今後のボルボを占うためにもぜひ読んで欲しい。

 

元は40シリーズのデザインスタディだった40.2

見出し用写真 VOLVO V40

ポールスター2は、セダン型EVだ。ライバルはテスラである。テスラ・モーターズの独走を阻止するべく作られ、出るぞ出るぞと何度も報道されて、とうとう2020年6月の販売開始だ。

ボルボファンとしても、日本に入ってこないだろうかと期待している人もいることだろう。

まずは数カ国での販売を経て、最終的には世界へ供給される予定だが、規模があまりにも小さいので日本に入るかはわからない。

デザインモチーフは明らかにボルボコンパクトの装い。まあ、40.2として登場した時からエクステリアはわかっていたから、もしもS40として発表しても驚かないはずだった。

 

雲行きの怪しいV40後継コンパクト

ボルボコンセプトカー40.2
出典:Volvo Car Group Global Media Newsroom

40シリーズのデザインスタディとして発表されたセダン40.2。バッテリーを搭載するため、腰高な印象だ。

ボルボコンセプトインテリア
出典:Volvo Car Group Global Media Newsroom

2015年頃に発表されているインテリアのデザインスタディ。横長のエアコン通気口やタブレットのようなセンターパネルは、ポールスター2へ受け継がれた。

ボルボコンセプトカー40.2
出典:Volvo Car Group Global Media Newsroom

セダンのリアの造形は統一する予定なのだろう。コの字型のコンベーションランプはS90のそれと同じだ。

ハッチバックの人気の低迷

2016年5月に発表された40.2、XC40につながる40.1は、2017年には量産される予定と発表。このコンパクトをベースとして、新しい40シリーズの特徴としてPHEVやEVにまで発展する予定とされていた。

ところが、実際に出たのはXC40だけ。

40.2は、どうなるのか?やはりV40のモデルチェンジ時期、2020年が濃厚か?様々な憶測が飛び交う。ところが。

 

実はこの2016年頃から、次期40シリーズについて様々な協議があったようだ。それは、現在のV40と同じ路線は、今後シェアが縮小するのでは、という懸念からだ。

クリーンディーゼルを入れてテコ上げしたあたり、V40の人気は落ちる一方だったらしい。自動車業界としてもコンパクトハッチより、SUVに人気が出ていることは他社が証明していた。

XC60はまさにその通りで、高額であるにもかかわらず飛ぶように売れたのだ。その勢いは2019年の今になっても変わらない。

40シリーズは、SUVだけで良いのではないのか?そのような考えがボルボに芽生えても仕方がないくらい、世界でXC60は売れていたのだ。

 

魅力的で燃費を稼ぐ車をつくる

見出し用写真 DRIVE-E

そして、ボルボV40後継車はいきなりの白紙撤回される。今のままだと売れない。新しく作り直す。

セダンやハッチバックは検討外にされ、クーペスタイルSUVも候補に。アウディA2クラスだと噂も流れ出す。

本来ならV40の後継車を出す必要があったところを、乗り継ぎユーザーのことを考えずに白紙撤回できた理由は、やはりXC60の販売数。これから出るXC40が同じような販売モンスターマシンになれば、V40後継車を伸ばしても問題ない。

けれども、この判断はかなりの危険が伴う。欧州排ガス規制の施行される2021年には、確実に高燃費モデル、つまりEVやPHEVのラインナップを増やさなければならなかったからだ。

 

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ボルボのブランド戦略

ポールスターエンブレム
出典:Volvo Car Group Global Media Newsroom

ボルボの命運を握ることになったポールスターのエンブレム

ポールスター1
出典:Volvo Car Group Global Media Newsroom

ポールスター1のリアの造形やグラマス感は ポールスター2にも再現される

ポールスターインテリア
出典:polestar

インテリアデザイン とくにシートはXC40と同じ形状だ

ポールスターインテリア
出典:polestar

未来感を演出するコックピットまわり すこしやり過ぎな感じも 限定モデルならではの魅力だ

ポールスター2
出典:polestar

デザインスタディよりもあきらかに進化したエクステリア 腰高感は解消され セダンボディだという事を強調する。今後発表されているEVの良いお手本になるだろう。

広いブランド戦略の一環に組み込まれたパフォーマンスブランド

そこへ白羽の矢が向けられたのが、2015年にボルボが買収していた「ポールスター」。

ボルボのパフォーマンス部門として買収されていた、元ワークスチームだが、2017年に「ポールスター1」を皮切りに、電動化専業メーカーとして独立させる予定であった。ここにV40後継車のデザインスタディモデル 40.2 をあてがって、テスラ・モーターズと競わせるのはどうだろうか?

実はこの方針は、吉利汽車の後押しがかなり強かったのではないか思われる。

ポールスターはボルボの純粋な子会社ではなく、ボルボと吉利汽車の共同出資で独立した会社である。吉利汽車は大気汚染の激しい中国市場で、EVの販売を強化したい。むしろ、内燃機関で走る自動車では世界の大手自動車会社に歯が立たない。テスラ・モーターズに習い、EVを推進するのを良しと考えていた。

ダイムラーへの出資によるスマートEVの推進、さらにLINK & COというブランドもボルボとともに立ち上げ、さまざまなチャンネルを増やす。吉利汽車の戦略は判りやすく、単純であるからこそパワーを持っていた。

だからこそ、お蔵入りするV40後継車をポールスター2として販売し、セダンボディが受け入れられている中国市場を中心に投入されることが決まったのだ。

ポールスターインテリア
出典:polestar

どう見ても40シリーズのポールスター2

ポールスター2には、本来ならば「ボルボ新型40シリーズ」として販売されるはずであった名残が見て取れる。

一番の特徴は、インテリアのシートだ。CMAプラットフォーム用に作られた、ボルボのシートを使っている。エクステリアでの一番のポイントはテールランプ。S90やS60と同じデザインテイストに仕上げられている。ボンネットはXC40の形状と同じく、かなりサイド側から開く形状になっている。キャラクターラインを明確にした上で、ボンネットもしっかりデザインに組み込まれた。

変更を受けたのはインパネ周りくらいだろう。ボルボはXC90からXC40まで、まったく同じテイストの・・・液晶画面を縦に中央に配置する・・・インテリアを採用している。インパネを変更することで、ポールスター2は「2」にしてはじめて、純粋なポールスター開発者に見えるようになった。

そのインパネさえ外してしまえば、本当ならボルボV40後継車はこのデザインで出るはずだったのである。

 

優先するのは燃費戦略

見出し用写真 XC40ヘッドライト

別のブランドにするのなら、ある程度特徴を出すべきだろう。だが、ポールスター2は2020年には販売開始することは決定事項であり、最優先事項だった。

それはなぜか?これこそ、ボルボの戦略である。

もしもEVの開発が遅れるようなら、欧州排ガス規制のルールに従い罰金を支払うことになってしまう。

欧州排ガス規制では、メーカー全体の燃費を減らすことが要求されている。その達成にはガソリンエンジンの改善だけでは達成できない。EVやPHEVの導入が必要なのだ。

ポールスターは”今は”別の会社としているが、何かあったらボルボに戻すことができる。そうでなくても、ポールスター2をOEMで販売することもできる。ボルボや吉利汽車がグループ全体でEVを開発している真っ最中であるが、開発が遅れた時の為に、EVの販売台数を稼ぐという保険をかける必要があったのだ。

 

順調に進む「命綱」

しかし、その心配も必要なさそうだ。

XC40はEV発売にまでなんとか漕ぎ着けられる。当初は中国と欧州に集中的にデリバリーされるだろう。

すると、ポールスターは本来のブランド戦略通り、パフォーマンスの高い電動車というジャンルを貫くことができる。化石燃料を使用しない未来を見据えた時に、どうしても懸念されていた「EVはつまらない車」という印象。ポールスターはそこへ、一石を投じるに違いない。

燃費改善の「命綱」は強く結びつき、支払わずに済む罰金はさらにボルボの戦略を加速させる。

ボルボと吉利汽車のシンフォニー。本領発揮の序章は今から始まるのだ。

 

 

注意:この記事は様々なメディア記事をもとに、aboutVOLVOが独自の判断で記載したものです。

参考文献は以下の通り

AUTOCAR出典

ボルボV40の間接的な後継として、今後3年以内にSUVクーペが登場する可能性がある。売り上げに貢献するため、また電動化に対応する必要があるためだ。

ボルボの欧州部門を統括するレックス・カースメーカーズはAUTOCARに対し、V40に直接的な後継モデルが登場することはないと認め、車高が高い別のモデルがそれに取って代わるだろうと語った。

「わたしたちはもっと創造的なことをやらなければなりません。だからV40の(直接的な)後継モデルを用意しないと決めたのです」

2019.1.17 出典:AUTOCAR

V40の後継車が発売されないことを明確にする発言。当時すでに40.2はポールスター2として販売されることが決定されており、同じボディを使用した40シリーズが出ない事を明確にしています。

また、V40ユーザーはXC40へ乗り換えるだろうという考えも記載されています。

 

VOLVO GLOBAR NEWS ROOM出典

Volvo Cars and Zhejiang Geely Holding Group Ltd. announced they will make a joint investment of MSEK 6,100 to establish a jointly owned company which will include a Polestar manufactur- ing facility in Chengdu, China, which is consolidated into Volvo Cars.

出典:VOLVO GLOBAL NEWS ROOM

翻訳:ボルボカーズと吉利汽車ホールディンググループは共同投資を行い、中国の成都にPolestar製造施設を含む共同所有会社を設立し、Volvo Carsに統合すると発表しました。

ポールスターがボルボだけでなく、吉利汽車も出資していることがわかる文献です。

 

他にも様々な情報を元に組み立てた記事になります。お楽しみいただけたなら幸いです。お読みいただき、ありがとうございました。

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