ディーゼルのリセールバリューがスグには下がらない理由

  • 2019年8月28日
  • 特集
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ボルボは日本へはディーゼルエンジンを大型モデル以外には入れないと説明しています。

リセールが悪くなるからというのが第一の理由ですが、本来ならリセールバリューがもしも低下するとしても、クルマを選ぶのは消費者なのだから、選択肢を単純に減らす理由にはしてはならないでしょう。

とは言ったものの、購入して長い間乗るのならいざ知らず、もしかしたら3年で売ってしまうかも。。なんていう人には、耳の痛い話であることは確かですね。ならば、ボルボ・カー・ジャパンの木村社長の言う、ディーゼルエンジン車のリセールが3年後、5年後でどうなるかわからない、とはどう言う事なのか、深堀してみましょう。

なぜボルボディーゼルのリセールは落ちるの?

中国では実際に起きている

中国のイメージ風景

いきなり答えっぽくて恐縮ですが、ディーゼルエンジンのリセールが破城しそうな場所があります。中国です。

「国5」と言われる排ガス規制から、「国6」という世界でも厳しい排ガス規制へ、前倒しで移行するというのです。この政策によって、リセールどころではなく「国5」対応の新車が30%引きなどで販売されたり、荒れた状況になりました。

大気汚染の深刻な中国では、これくらい強引に行わないと空気のクリーン化はできないと踏んだのでしょう。しかしこの方法を取られれば、「国5」対応車はリセールを下げる事になります。

ここからわかるのは、以前にはなかった中古車の値付けの流れ。つまり、排ガス規制の達成度による中古車の値付けが始まる可能性がある、という事がわかります。

日本はもともと基準が高いので車は長く使える

長野県原村のドライブ画像

では日本ではどうなのでしょう?

日本でも排ガス規制は行われています。ある一定の基準を満たしていない車は、新車登録できなくなっています。平成30年に規制が更新されていますが、その前は平成21年です。

成分 認証基準
CO 0.63
HC 0.024
NOx 0.15
PM 0.005

平成30年度排ガス規制(ディーゼル車) WLTCモード(g/km) 出典:国土交通省

実は、輸入車への適用は令和2年9月1日から。日本車は平成30年10月1日から始まっています。つまり今販売されている欧州製ディーゼル車は、一番新しい規制に適合していない車もあるかもしれません。そのような車は、新車登録こそ今のところできますが、継続車検して使用できる年数が短くなる可能性があります。

では、ボルボの排ガス性能はどうなのでしょうか。

モデル 排ガス適合基準
V40 ガソリン 平成17年
V40 ディーゼル 平成21年
XC40 ガソリン 平成17年
V60 ガソリン 平成17年
XC60 ガソリン 平成17年
XC60 ディーゼル 平成21年
V90 ガソリン 平成17年
V90 ディーゼル 平成21年
XC90 ガソリン 平成17年
XC90 ディーゼル(D5) 平成30年

ほとんどのモデルが、ガソリン車は平成17年基準、ディーゼル車は平成21年基準です。唯一XC90のD5だけが、平成30年基準を超えています。

今のところ平成21年基準を超えたディーゼル車が、規制を受けることはなさそうです。日本車の燃費基準は欧州と競り合って高いレベルで推移していました。ですのでいきなり乗れなくなる、なんてことはありません。

ただ、平成30年度の排ガス規制もはじまりましたのでいつ規制の対象になるのかはわかりません。じつは平成17年以前の規制では、規制年度より概ね12年くらいで継続車検が受けられなくなっていました。

もしも平成21年排ガス適合車が今まで通りの規制を受けた場合、平成33年前後、つまり令和3年前後には継続車検が受けられなくなってしまいます。今は問題ありませんが、そのうち規制されるとなった場合、まっさきに対象に上がるのが平成21年(ディーゼルに適用)で間違いないでしょう。

規制を受ける、となった場合、車検切れまでクルマに乗る事はできますが、車検を通らない時点でリセールどころの話ではありません。

ユーザーのリセールを守る、と言ったのは、この事なのでしょうか?

欧州メーカーの考え方

メルセデスの場合

メルセデスベンツA200D
出典:メルセデスベンツAクラス

さて、ディーゼルのリセールを考えるのならば、ディーゼルの将来を見なければならなく、クリーンディーゼルの本場欧州の動きは目を外せません。欧州ではディーゼルの比率が落ちて来ているそう。そもそも燃料費がハイオクと軽油でほとんど変わらないという欧州では、燃料費の差でクルマ選びが傾く可能性はありません。

ディーゼルゲート以降、一時的にディーゼルの買い控えがあったのは確かなようで、しかしフォルクスワーゲンは2018年初頭には全体の43%にまでディーゼルの受注が回復したようです。

ディーゼルでの進入禁止地域ができたりと偏った政策で振り回されている感じがしますが、他のドイツメーカーもまだまだディーゼルには将来があると意気込んでいます。

メルセデスのプロダクトマネージャー ゾルゲ氏は、GQの記事でこう言いました。

現在ヨーロッパの世論は、事実ではないウワサなどに流されやすくなっていますが、弊社としては技術と事実をつかんでいますし、それを満たしていればディーゼルは売れ続けると考えています。

出典:GQジャパン いまなぜあえてディーゼルなのか?

つまり、今のディーゼルへの風当たりは、ディーゼルゲートでの一時的なショックのようなもので、排ガス規制をクリアしたディーゼルエンジンには需要があると言っています。

排ガス規制で継続して乗れなくなる車は、ディーゼル車でもガソリン車でも同じ。あたらしい技術でどれだけ伸びるかにかかっていると感じます。まだまだ作るとドイツ大手自動車メーカーが言うのですから、リセールが下がる気はあまりしません。(ドイツ大手にディーゼルゲートを引き起こされたのですけどね。。。)

フォルクスワーゲンの場合

VW ティグアン
出典:フォルクスワーゲン

日本で積極的にディーゼル車をラインナップするフォルクスワーゲン。そもそもディーゼルNoになったのは、フォルクスワーゲンの自動車プログラムの不正問題です。

そのVWはディーゼルゲートの影響が落ち着き、まだまだディーゼルエンジンを作る意気込みがあります。そんなフォルクスワーゲンの将来への筋書きを予想してみます。

そもそもクリーンディーゼルに力を入れる訳は、ハイブリッド技術で日本に遅れをとったから。世界で日本車と勝負するなら、燃費の良いクリーンディーゼルは欠かせない。まずは何としてでも時間稼ぎをして、パワートレーン競争で前に出る施策が欲しい。

まずはゴール地点の変更。ハイブリッドがゴールでは後追いで負けになる。プラグインハイブリッドでも遅れを取る形になるが、EVなら追いつける。ハイブリッドには48Vマイルドハイブリッドから、そして48Vの次はまた、昇圧とバッテリー容量増強で追いついていく。

ある程度追いつけば、次は日本の得意としていないディーゼルとハイブリッドを掛け合わせる事もできる。

EVで並びながらも、サプライヤーの技術革新で液体燃料の復活もありえる。いまはバッテリーへの蓄電でクルマを動かすが、バッテリー自体の枯渇や電気の発電、送電容量を考えれば、すぐに電気オンリーにはなり得ない。ならばバイオ燃料でクルマを動かす道を残しておく。

いかがでしょう。世界第一位のグループですから、もっと深く考えていることでしょう。

サプライヤーの支援も手伝っている

ボッシュのディーゼルテスト
出典;ボッシュ

しかし、この筋書きにはしっかりと裏付けがあります。一つは電気の需要。もし世界の車が電気自動車になると、今の電気設備では充分に賄えないのです。

すると次世代電気エネルギーが必要で、核融合発電が研究されていますがまだまだです。

そして、ボッシュ社の動き。ゴミがら作り出したバイオディーゼル燃料のテストを続けていますが、テストしているクルマはゴルフ。フォルクスワーゲンとボッシュとの繋がりは相当なもののようですね。

ボッシュ社は今のディーゼルエンジンの10分の1にNOxを抑え込めると発表しています。つまり、フォルクスワーゲンのロードマップにはボッシュ込みでのディーゼルシナリオがしっかりと入っていることがわかります。

このように捉えれば、ディーゼルがいきなり売れなくなる、と考える方がおかしいと思いませんか?ディーゼルエンジンにはまだまだ将来がありそうです。

結局原油を輸入すれば、ガソリンと軽油ができるんです。エネルギーミックスを考えれば、さまざまなエンジンを持つことが良いと言えるでしょう。

aboutVOLVOの意見

おはらい横丁のつばめ

さて、私の意見を挟んでおこうと思います。

私はディーゼルが大好きですが、次のクルマはディーゼルにしようと決めたわけではありません。

もちろんボルボが積極的にディーゼルエンジンを入れてくれれば、さらにマイルドハイブリッドであれば、選んでいいと思います。

一方でプラグインハイブリッドも気になります。ボルボは650万円からのプライスですが、まだ高いです。他メーカーなら200万安く手に入ります。その差を感じられるほど、ボルボは素晴らしいとは言えません。

燃費が良いのであれば、ガソリンエンジンでも良いです。高い回転数に燃費の良いスポットがあれば高い回転数を回します。8リッターエンジンのアイドリングだけで走れというのであれば、それも良いです。

どっちつかずなのではなく、最良の楽しくって環境に良いエンジンが選びたいという事です。

その為に、各メーカーは凌ぎを削ってエンジンを開発して欲しいのです。

そして、例えばディーゼルを捨てる、という選択肢はNGです。なぜかと言えば、ディーゼルで培った技術がガソリンエンジンに採用されたり、その逆もあるからです。ディーゼルを捨てればガソリンエンジンの進化も停滞します。

マツダのSKYACTIVE-Xで採用されるHCCI技術は、ガソリンエンジンをディーゼルエンジンに近づける試みです。着火方法をディーゼルと同じ圧縮着火を目指せば、吸気弁を常に開けておけるのでポンピングロスが無くなる。ディーゼルと同じ熱効率になる、という方針。ガソリンもディーゼルも頑張るマツダらしい技術です。

ほんと、マツダとボルボが手を組めばよかったのに。

 

このように考えてみればディーゼルエンジンがお先真っ暗、とは言えないでしょう。ディーゼルのリセールが落ちるという木村社長は、クリーンディーゼルを買った全てのボルボユーザーに謝ったほうがいい。その発言だけでも十分にリセールが下がる原因になってしまうのですから。

とにかく、電気時代までには暫く時間がかかります。インフラ整備が完全に整うまでは、ガソリンもディーゼルも燃費を上げていかなかくてはなりません。過渡期である今だからこそ、エンジンラインナップをしっかりと拡充してほしいものです。

新型ディーゼルを開発しないボルボの判断は正しいか

ボルボロゴ
相当のペナルティーになる個人情報流出

最悪ディーゼルもガソリンも作らなくていい?

ではボルボのディーゼル終息判断は、間違っていたのでしょうか。

ボルボは販売台数で弱い。スウェーデンにおいても、フォルクスワーゲンに販売台数で負けそうになっています。

ボルボが進もうとしている道は、EV。クリーンディーゼルの技術があるにも関わらず、その道は捨てる覚悟。これは正しいのでしょうか。欧州ではまだまだ、30%以上のお客様はディーゼルを選んでいるのです。

 

答えは簡単でした。。。世界で売る必要はない。中国でEVを売れば良いのです。ガソリンエンジンもディーゼルエンジンも売れなくなるかもしれない中国。だからディーゼルエンジンは必要ありません。

ボルボの判断には、親会社(吉利汽車)の意向が少なからず入ってきます。しかし、もしも本当に中国一辺倒になってしまったら。その時は私たちはボルボを諦める時期なのかもしれませんね。

ボルボはディーゼルを諦めるわけではない

世界を見ればいきなりEVに移行できるわけではなく、もう少しの間内燃機関は必要です。そこをバッサリ切ってしまう方針は、市場を牽引するというよりは関係のない仕事はしない、と言っているようで悲しいです。

いや、ひとつマヤカシがありました。ボルボは今のディーゼルエンジンをブラッシュアップして、例えばマイルドハイブリッドをつけて延命を図る予定です。ディーゼルエンジンを完全には手放しません。

面倒臭い内燃機関ユーザーへの対応をバッサリ切ろうとしているのは、外でもないインポーター、木村社長の率いるボルボ・カー・ジャパンです。

今回のXC90のマイルドハイブリッドディーゼルエンジンも設定しませんでした。どこまでもユーザーの燃費を意識しない木村社長の方針に、ボルボを離れるユーザーも増える事でしょう。

ディーゼルのリセールバリューは将来的には下がる傾向だが

VOLVO OV4
出典:ボルボ・カー・ジャパン

ちなみに、中古車市場の価格を検索すると、同一価格でエンジンの違うモデル「V40 T3 Inscription」と「V40 D4 Momentum」はほとんど同じ価格です。

まだまだディーゼルのリセールバリューは下がっていません。むしろ日本では、輸入車の相次ぐディーゼル攻勢で注目があつまっています。

気になるのは平成21年度排ガス規制のディーゼルエンジン車ですが、いきなり乗れなくなることはないでしょう。そもそも、V40で言えばガソリンエンジンだって将来規制がかかるのです。

できれば、私たちはリセールバリューにこだわる事なく、内燃機関の進化ラストに近いこの時期にディーゼルターボを購入して、長く楽しみたいところですね。

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